民法の成年年齢引下げ改正案の見送り

3月1日、政府は、成年年齢を18歳に引き下げるとする民法の改正案の今国会への提出を、見送る方針を固めたと発表しました。民法の「成年年齢の引下げ」については、新たに成年となる18歳、19歳の消費者被害が増加するといった懸念があがっており、2016年9月、消費者委員会は「成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ」を設置、報告書をまとめました。

この報告書では、民法の「成年年齢引下げ」により懸念される消費者被害を防止、救済するための望ましい対応策が、国民的コンセンサスが得られていないという指摘がなされています。

 

私たちの生活に大きな影響を与えるこの法改正の議論に対し、消費者のみらいを考える会では、成年年齢の引き下げ対象の18歳、19歳の若者がこの問題をどのように捉えているのか実態を探るため、昨年11月に消費者意識調査を実施いたしました。

 

消費者意識調査2016年12月発表

 

この調査の結果、民法の「成年」を理解しているほど、引き下げに対し反対する傾向が見られますた。また、消費者トラブルに遭った経験がある人ほど、成年年齢の引き下げに対する認知が不足しているという傾向もみられました。当事者となる若者世代に、理解が浸透するには、当面時間がかかりそうです。

 

今回の国会への提出は見送りとなりましたが、検討の時間ができた分、これから十分な議論を重ねていくことが求められます。特に、引き下げの対象となる若者へ継続的に情報提供を行い、当事者が置き去りにならない議論を進めていくことが望まれます。

 
◆成年年齢引下げ対応検討ワーキング・グループ報告書